なぜ, SQC が必要なのか
早稲田大学 棟近雅彦
ばらつき
JIS Z 8101-2( 統計的品質管理用語 )
– “観測値・測定結果の大きさがそろってい ないこと.又は不ぞろいの程度”
– 結果にばらつきがあること
品質マネジメントの文脈:違いがある
– “ばらつきがある”,“ばらつく”
– “条件がばらつく”
– “人によって手順がばらついている”
品質のばらつき
製品・サービスの品質にはばらつきがある
– 長さ10cmの部品
– 10.1cm,9.9 cm,・・・
品質マネジメント
– 許容できるばらつきというのを定めて,ある範 囲内に品質を収めるように管理を行う
– ばらつきを,経済性を考慮しながら管理する
工程能力
– ある工程がもつ品質に関する能力
– 品質マネジメントの一つの目的は,経済的に工
工程のばらつき
要因分析
– 種々の問題が何かのばらつきによって引き起こされ,その 原因を突き止めて対策を打つことが問題解決,すなわち品 質の向上に結びつく
– 製品の品質特性値は,一定ではなくばらつきをもっている – 良品と不良品が混在
• 100%良品,100%不良品はない
– 良品を作っているときと不良品を作っているときの条件が 違う
– 条件のばらつきが不良品の出る一般的な原因
工程の改善
– ばらつきを減らして,なるべくよい条件に安定させること
工程管理
工程の条件を結果のばらつきが小さいなるべくよい 条件に安定させること
– 通常の状態よりもばらつきが大きい結果が出ると,それ が異常と認識され,アクションをとる
許容できるばらつき
– 許容できる範囲はどの程度で,異常と考えられるばらつ きはどの程度かを知っておく
標準化とばらつき
標準化– よい条件に安定するように手順,モノを決めること
– よい手順に従い,よいモノを用いて業務を行えば,結果もば らつきが少なく安定したものとなる
– そこに異常原因が入り込むと,結果が大きくばらついて異常 が検出できる
– 手順やモノが標準化されておらず,もともと結果が大きくば らつくような業務方法を用いていれば,異常に対する検出力 は小さくなる
– 許容できるばらつきだけが現れるようにし,異常原因を外す ように組み立てたものが標準化
– 許容できないばらつきが出るようならば,標準化が適切でな いか,決められているべき標準化がなされていない可能性が 高い
– 最初の段階で,異常原因が発生せず,許せないばらつきが出 ない標準化をきちんと行うことが重要
品質管理の基本
品質のばらつき
工程のばらつき
工程管理,問題解決
標準化とばらつき
優秀な技術者は常に不足している
工学的技術の基盤:自然科学法則
工学的生産:製品を種々の自然科学法則 を適切に利用し,経済的にできるだけ効 率的に生産すること
不明なことがたくさんある
– 1枚の紙がどこに落ちるか – なぜ不良品が出るか
– ・・・
よい技術者の条件
法則を目的に合わせて適切に処理できる
– 知識
• 法則(技術)を知っている
– 総合化
• 多くの法則のもつ特性を利用して一つの目的を 実現する
– 法則(技術的知見)の発見
• データを正しく解析し,効果的な実験を行って
法則を発見する
よい技術者の条件
知識:固有技術
総合化:技術者の個人的な資質
法則の発見:技術者の科学的研究能力
– 統計的思考,統計的方法によってレベルの
向上が図れる部分
達人・名人と凡人
不良の原因を調べる
– 直感 – 経験
– データを統計的に調べる – 実験
技術の進歩,問題の変化
– 常に達人であることは難しい
KKD
勘( Kan )
– 直感.第六感.「―がいい」「―が働く」「―に頼る」
経験( Keiken )
– 何事かに直接にぶつかり,そこから技能・知識を得るこ と.「―を積む」
度胸( Dokyo )
– 物事に動じない心.胆力.きもったま.「―を据えてか かる」「―がない奴」
KKD の意味
– KKDだけで判断することを戒める
– KKDに基づいた判断を検証し,事実が調べられるものが あるなら調べて総合的に判断するという態度
Christopher Chatfield : “Problem Solving”
Ideal statistician の要件
– an effective problem solver – thorough & yet report on time
– open-minded & display a healthy scepticism
– collaborate with other people, communicate both orally &
in writing
– be versatile(
多才), adaptable(
順応性), resourceful(
機知に 富む), self-reliant and have sound common sense
– use a computer & a library effectively
– be numerate, particularly being able to make sense of a set of messy data. Yet also understand that some
important facets of life cannot be expressed numerically
and hence understand what statistics can and cannot do.
統計的法則
法則
– 断片的な個々の現象の分類整理 – 共通的な部分の抽出
– 再現する(同一の条件で)
統計的法則
– あるばらつきの範囲内なら再現する
品質管理における統計的方法の役割
事実を把握する手段
– 現象をデータで表し,分類,層別してその 度数を観察
製造品質を管理し,解析する
– 統計的品質の管理
– 製品の統計的なばらつき
設計品質を確保する
– 適切な公差の設定
統計解析の急所
不良の原因:「ばらつき」
層別
– 共通点,特徴でグループに分ける
パレート図
– パレートの原理
– 重点指向
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層別
Waseda Univ. Prof. M.Munechika
0 8 16 24 32 40
異質な集団
Xbar SU
SL
0 8 16 24 32 40 n =100
Xbar=20.5505 s =2.18446 Cp =0.610 Cpk =0.526
29.6175
9.6175 10.61750 12.6175 14.6175 16.6175 18.6175 20.6175 22.6175 24.6175 26.6175 28.6175
8 16 24 32 40
上限規格
Xbar SU
SL
29.6175
9.6175 10.61750 12.6175 14.6175 16.6175 18.6175 20.6175 22.6175 24.6175 26.6175 28.6175
8 16 24 32 40 n =100
Xbar=22.8146 s =1.05027 Cp =1.270 Cpk =0.376 0 8 16 24 32 40
異質な集団
Xbar SU
SL
0 8 16 24 32 40 n =100
Xbar=20.5505 s =2.18446 Cp =0.610 Cpk =0.526
29.6175
9.6175 10.61750 12.6175 14.6175 16.6175 18.6175 20.6175 22.6175 24.6175 26.6175 28.6175
8 16 24 32 40
上限規格
Xbar SU
SL
29.6175
9.6175 10.61750 12.6175 14.6175 16.6175 18.6175 20.6175 22.6175 24.6175 26.6175 28.6175
8 16 24 32 40 n =100
Xbar=22.8146 s =1.05027 Cp =1.270 Cpk =0.376
0 4 8 12 16 20
全体
Xbar SU
SL
0 4 8 12 16 20 n =100
Xbar=19.8724 s =2.55889 Cp =0.521 Cpk =0.504
0 4 8 12 16 20
作業者A
Xbar SU
SL
0 4 8 12 16 20 n =43
Xbar=17.5592 s =1.79032 Cp =0.745 Cpk =0.290
0 4 8 12 16 20
作業者B
Xbar SU
SL
0 4 8 12 16 20 n =57
Xbar=21.6174 s =1.40129 Cp =0.952 Cpk =0.567
0 4 8 12 16 20
機械C
Xbar SU
SL
0 4 8 12 16 20 n =45
Xbar=20.8142 s =1.37168 Cp =0.972 Cpk =0.774
16 20
機械D
Xbar SU
SL 16
20 n =55
異質な集団がある
上限規格を外れる
ばらつきが大きい
© 2011, The Institute of JUSE. All Rights Reserved.
層別
0 4 8 12 16 20
全体
Xbar SU
SL
0 4 8 12 16 20 n =100
Xbar=19.8724 s =2.55889 Cp =0.521 Cpk =0.504
0 4 8 12 16 20
作業者A
Xbar SU
SL
0 4 8 12 16 20 n =43
Xbar=17.5592 s =1.79032 Cp =0.745 Cpk =0.290
0 4 8 12 16 20
作業者B
Xbar SU
SL
0 4 8 12 16 20 n =57
Xbar=21.6174 s =1.40129 Cp =0.952 Cpk =0.567
0 4 8 12 16 20
機械C
Xbar SU
SL
0 4 8 12 16 20 n =45
Xbar=20.8142 s =1.37168 Cp =0.972 Cpk =0.774
29.6170
9.6170 10.61700 12.6170 14.6170 16.6170 18.6170 20.6170 22.6170 24.6170 26.6170 28.6170
4 8 12 16 20
機械D
Xbar SU
SL
29.6170
9.6170 10.61700 12.6170 14.6170 16.6170 18.6170 20.6170 22.6170 24.6170 26.6170 28.6170
4 8 12 16 20 n =55
Xbar=19.1018 s =3.02116 Cp =0.441 Cpk =0.342 0 4 8 12 16 20
全体
Xbar SU
SL
0 4 8 12 16 20 n =100
Xbar=19.8724 s =2.55889 Cp =0.521 Cpk =0.504
0 4 8 12 16 20
作業者A
Xbar SU
SL
0 4 8 12 16 20 n =43
Xbar=17.5592 s =1.79032 Cp =0.745 Cpk =0.290
0 4 8 12 16 20
作業者B
Xbar SU
SL
0 4 8 12 16 20 n =57
Xbar=21.6174 s =1.40129 Cp =0.952 Cpk =0.567
0 4 8 12 16 20
機械C
Xbar SU
SL
0 4 8 12 16 20 n =45
Xbar=20.8142 s =1.37168 Cp =0.972 Cpk =0.774
29.6170
9.6170 10.61700 12.6170 14.6170 16.6170 18.6170 20.6170 22.6170 24.6170 26.6170 28.6170
4 8 12 16 20
機械D
Xbar SU
SL
29.6170
9.6170 10.61700 12.6170 14.6170 16.6170 18.6170 20.6170 22.6170 24.6170 26.6170 28.6170
4 8 12 16 20 n =55
Xbar=19.1018 s =3.02116 Cp =0.441 Cpk =0.342 0 4 8 12 16 20
全体
Xbar SU
SL
0 4 8 12 16 20 n =100
Xbar=19.8724 s =2.55889 Cp =0.521 Cpk =0.504
0 4 8 12 16 20
作業者A
Xbar SU
SL
0 4 8 12 16 20 n =43
Xbar=17.5592 s =1.79032 Cp =0.745 Cpk =0.290
0 4 8 12 16 20
作業者B
Xbar SU
SL
0 4 8 12 16 20 n =57
Xbar=21.6174 s =1.40129 Cp =0.952 Cpk =0.567
0 4 8 12 16 20
機械C
Xbar SU
SL
0 4 8 12 16 20 n =45
Xbar=20.8142 s =1.37168 Cp =0.972 Cpk =0.774
29.6170
9.6170 10.61700 12.6170 14.6170 16.6170 18.6170 20.6170 22.6170 24.6170 26.6170 28.6170
4 8 12 16 20
機械D
Xbar SU
SL
29.6170
9.6170 10.61700 12.6170 14.6170 16.6170 18.6170 20.6170 22.6170 24.6170 26.6170 28.6170
4 8 12 16 20 n =55
Xbar=19.1018 s =3.02116 Cp =0.441 Cpk =0.342
全体
作業者による層別
機械による層別
パレート図:視点・観点の変更
SQC の意義
事実に基づく管理
– 事実を表すものとして,調査や計測の結果として とられた数値データは代表的なものであり,その 分析手法としては統計的方法が適している
品質特性値が統計的にばらつく
– 統計的にばらつく品質特性値を記述し,分析する
大量のデータを見ることによって,ばらつき が存在するなかから傾向を見いだせる
– 特に技術的に未熟な場合には,どのような調査,
実験を行えばよいのかも不明であることが多いの
「 SQC 」が意味すること
事実
– 数値データ,観察結果,言語データ,種々 の記録
科学的分析,科学的態度
– 品質マネジメントにおいて科学的分析が重 要であるということを強調する
– 統計的方法を用いるということよりも,事
実を科学的に分析する
SQC 教育の必要性
アジアでの TQM ブーム
– デミング賞実施賞(2000年以降)
• 海外31社,日本7社
– インド企業の熱心さ
• 品質管理教育
• SQCによる効果の実感
SQC 教育の必要性
医療分野での品質管理の遅れ
– 問題解決の基本的考え方
発生している問題
– 仕事の良し悪しを把握するための,必要なデータ,事実 が測られていない
– 管理指標は,人を測るのではなく,業務の結果を測るこ とが理解されていない
– 何が問題かが明確になっていないことが多い – たくさんある課題から絞り込むことができない – 結果ではなく,活動が目標になっている
– 根拠のない目標値が立てられている,あるいは目標値が ない
SQC 教育の必要性
1980 年~ 1990 年頃
– TQMの確立
– SQC教育の確立
– 日科技連BCセミナー受講者:600名/年
現在
– 日科技連BCセミナー受講者:100名/年 – 既に能力が身についたから?
– 社内教育で実施するから?
技術者不足にどう対応するか
よい技術者の条件
– 知識:固有技術
– 総合化:技術者の個人的な資質
– 法則の発見:技術者の科学的研究能力
• 統計的思考,統計的方法によってレベルの向上が図 れる部分
マネジメントとして何ができるか
– 優秀な人をとることだけか
– 5年もたてば,人はすべて入れ替わる
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http://www i-juse co jp/statistics/jirei/
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